「トルコは文化の宝庫」 第46回

イスハクパシャ宮殿 (東アナトリア地方アール県)

「トルコは文化の宝庫」 第46回

今日はトルコの最高峰アール山のふもとに位置するドウバヤズット地区にあるイスハクパシャ宮殿をご紹介します。

 

ドウバヤズットはイランとアルメニアと国境を接する極東地区です。

ここに向かう途中、80キロ離れた場所からさえも見える有名なアール山、世界的にアララト山として知られている山が出迎えてくれます。

モーセ五書で、預言者ノアは大洪水のときに船に乗せた動物たちと共に、ここに上陸したと言われています。

人類の第二のアダムの父として知られる預言者ノアは、親しい者たちとアール山から世界に広がったと信じられています。

コーランでは預言者ノアが上陸した場所は、トルコのシュルナクにあるジュディ山であると言われています。

アール山の3方面には3つの居住地があります。

そのうちの一つはアルメニアの首都エレバン、あとのふたつはトルコのウードゥル地区とドウバヤズット地区です。

この三つの居住地でも、一年中雪と氷に覆われ、常に頂に雲を乗せて霧に包まれた、この素晴らしい景色を見ることができます。

 

歴史上この地域はローマ人とイラン人の間で頻繁に支配者が変わりました。

モンゴル人のアナトリアに定住した分派であるイルハン朝がイスラム教に転身すると、この地域を彼らが支配するようになりました。

その後順に、白羊朝と黒羊朝のテュルク系王朝の手に渡りました。

オスマン帝国のメフメト2世とセリム1世の時代にこの二つの国は敗北し、チャルディラーンの戦いにより、現在まで続くトルコ人が支配する時代を確立しました。

ドウバヤズット地区はオスマン帝国に従属していた地方のチュルドゥロール族のサンジャクベグが在職した地域です。

 

ここにあるイスハクパシャ宮殿はアール山の美しさに歴史的な味わいを加えています。

ドウバヤズット地区を通過して少し傾斜した道を行くと、急な丘にそびえるイスハクパシャ宮殿に到着します。

曲がりくねった道を進んで行くと宮殿の素晴らしい石工技術に驚くことでしょう。

オスマン朝の地方のベグで、一族の重要なベグの一人だったイスハクパシャの宮殿の建設は、チュルドゥロール族のイスハクパシャ2世とチョラク・アブディ・パシャにより1685年に行われ、1784年に完成しました。

この宮殿はセルチュク朝、オスマン朝、イランの建築の特徴を持っています。

切石でできた宮殿の東側にある記念碑的な門から入ります。

門、レリーフ、装飾は完全にセルチュク朝の芸術の特徴を見せています。

ロシアの占領中に金のドアが盗まれ、戦利品としてサンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館に運ばれました。

いつかそのドアが元の場所に戻ることを私たちは望んでいます。

近年行われた復興作業により、中庭の上が屋根で覆われた宮殿は、自然の悪影響と破損から守られました。

中庭に入ると素晴らしいモスクがあなたを出迎えます。

中庭で最初に注意を引くもので、宮殿の全体の構造に比べ、小さな霊廟が目に留まります。

モスクと宮殿の大きさとはまるで対照的ですが、とてもエレガントな霊廟です。

宮殿の所有者のこの霊廟のすぐ横にあるドアから、宮殿の主要迎賓サロンに入ることができます。

巨大な空間のこの玉座の間には、大理石の上に施された三つの三日月がオスマン帝国の跡を残しています。

中庭から西に向かうと宮殿のハーレムにたどり着きます。

ハマムに類似した、地下からお湯と蒸気を通す方法で温められていた宮殿は、同時に際立った下水システムも備えてました。

ルーヴル宮殿にトイレがなく、おまるが使用された時代、それと同じ時代に建設された非常に小規模なこの宮殿には下水システムが施されていたのです。このことはオスマン朝がその時代の文明にして、西欧よりもどれだけ進歩していたか表しており、我々に誇りを持たせてくれます。

イスハクパシャ宮殿は同時に城でもありました。

危険が迫った時は、宮殿の向かいにある岩に建てられた城との間に架けられた吊り橋で、そこに渡れたと考えられています。

吊り橋の地上からの高さは約300メートルありました。

7月15日殉教者の橋と同じ高さの吊り橋のアイデアだけでさえ、興味深いものです。

これは攻撃された時の宮殿の陥落に備えた安全対策でした。

宮殿が知られるようになったのは1925年のユスフ・マズハル・ベグ氏による新聞記事からでした。

その後の詳しい調査は1961年に考古学者のマフムト・アコク氏により行われました。

イスハクパシャ宮殿は2000年にユネスコ世界遺産の暫定リストに掲載されました。

この宮殿は海外からの外国人観光客が最も見学したい作品の一つです。

いつの日かトルコ東部にお越しの際は、アール山とイスハクパシャ宮殿をぜひご訪問ください。



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