「トルコの窓から見た中東」 第40回

9月15日に終了したアスタナ会議の第一の議題は、イドリブでした。私たちも今回、イドリブの現状と今後の進展の可能性を分析します。

「トルコの窓から見た中東」 第40回

9月15日に終了したアスタナ会議では、非衝突地帯の設置についての協力活動が、もう少しはっきりしました。非衝突地帯は、シリアの4地域を内包しています。しかし、このアスタナ会議の中心的な議題にはイドリブがありました。イドリブは他の地域に比べてより多くのグループを抱えており、グループ同士のバランスが極めて敏感です。そのため、非衝突地帯の過程は、新たな衝突を生じるリスクも抱えています。

トルコ、ロシア、イランはこの会議の終わりに、イドリブの非衝突地帯の境界線と、境界線を誰が守るかについて合意しました。メディアに反映されている限りでは、3国それぞれから500人ずつの兵士が、非衝突地帯の境界線上に設けられる検問所に派遣され、停戦を監視します。しかし、この取り組みは、ハヤート・タハリール・アルシャーム(旧ヌスラ戦線)との戦いで十分でない可能性があります。もとは、最初の段階で視野に入れられているのはハヤート・タハリール・アルシャームとの戦いではありません。現時点で非衝突地帯の外壁を設け、ハヤート・タハリール・アルシャームの動きを制限することが計画されています。

イドリブとその周辺の地域で、ロシア、トルコ、イランが非衝突地帯の環境を整え、保護しようと計画しています。この状況は、トルコにとって大きなリスクを孕んでいます。なぜならトルコが非衝突地帯の協力活動を行うために軍を派遣した地域の一部において、ハヤート・タハリール・アルシャームが非常に強力だからです。もとはといえば、自由シリア軍がこの地域で存在を強化するために、トルコがこの地域に向かうことが長い間期待されています。そのため、トルコがこの地域に軍を派遣すれば、まず自由シリア軍とハヤート・タハリール・アルシャームの間で、それからトルコ軍とハヤート・タハリール・アルシャームの間で軍事衝突が発生する可能性が高いです。各当事者の軍関係者もこのことを認めています。

トルコはイドリブで過激派グループとの戦いで、多面的な戦略を実行しています。この戦略の最初の段階は、ヌスラ戦線の主導で作られたその傘下のグループであるハヤート・タハリール・アルシャームを内部から脆弱化させることです。この枠内で、一部のグループのハヤート・タハリール・アルシャームからの分離に向けて取り組みが行われています。トルコが集中的な取り組みを行ってきた結果、ハヤート・タハリール・アルシャームは解体し始めました。

トルコのイドリブ戦略の第2段階は、穏健反体制派の結束と強化です。この枠内で、イドリブで分散している自由シリア軍を1つにまとめる取り組みが行われています。トルコの支援により、イドリブで自由シリア軍は一体化への大きな動きを開始しました。この新たな構造は、反体制派をアサド政権軍に対し強化する取り組みである前に、ハヤート・タハリール・アルシャームに対する均衡を保つ構造となるでしょう。

アスタナ会議の基本の目標は、シリアで過激派と穏健派の武装グループをはっきりと分けること、過激派を一掃すること、アサド政権軍と穏健反体制派の間にまず停戦をもたらし、そして政治的解決に至ることです。この計画の実現における最大の問題の地域の1つはイドリブです。なぜならイドリブは、反体制派軍が一体化して管理下に置いている最も広い地域であり、そこでの最大の武装反体制派は、ヌスラ戦線だからです。それに対し、イドリブにいるグループの一部はアスタナ会議の一部でもあります。なので、イドリブで一度にすべての戦いを行うことは不可能です。そのため、まずイドリブで過激派グループと穏健派グループを分ける必要があります。トルコが主導権を握らなければ、イドリブの進展、さらには管理が、地域外の勢力やトルコに対し脅威となる要素に移行してしまう可能性があります。そのため、トルコがイドリブで率先して行動することがやむを得なくなっています。

今後の過程でトルコは短期間のうちに、イドリブで大きな戦闘を行う可能性があります。イドリブでの戦闘は、地理的・気候的な条件によりユーフラテス川盾作戦より長引く可能性があります。そのため、イドリブへのトルコ軍の展開は、トルコを巻き込む戦闘となる可能性があります。イドリブにとって非衝突をもたらすことが期待される軍事作戦により、トルコは国境外で新たな問題と直面する可能性があります。トルコが戦闘のリスクを視野に入れて、軍事的な成功を収めれば、そもそも影響下に置いていたイドリブで、ユーフラテス川盾作戦に似たような安全地帯を構築できるでしょう。そのことも、シリアでの進展においてトルコの影響をさらにもう少し強める可能性があります。こうしてトルコはイドリブを中心としたリスクを最小限にとどめる機会を手にします。さらには、シリアで、ロシアとイランとの協力活動を発展させ、自身の責任を果たしているトルコが、テロ組織PKKとPYDとの戦いにおいていくつかの補償を得ることに繋がるでしょう。その観点からも、最初に思い浮かぶ可能性は、ロシア軍が駐留するアフリーン地域です。イドリブの後にトルコが別のテロ組織であるPKKとPYDが支配下に置くアフリーンに向けた軍事作戦を開始することは驚くに値しないでしょう。

アタテュルク大学国際関係学部ジェミル・ドアチ・イペク博士の見解をお伝えしました。



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