「トルコ外交政策へのまなざし」 第20回

中央アジアに向けたトルコの文化外交活動

「トルコ外交政策へのまなざし」 第20回

アタチュルク大学国際関係学部ジェミル・ドアチ・イペク博士著

 

文化外交は、相互影響の仲介者であるのと同様、社会的変革の触媒でもあります。私たちも今回、中央アジアに向けたトルコの文化外交政策を分析します。

文化外交は、思想、アイデア、世界的視点、生活スタイル、美の認識、エンタテイメント、嗜好を共有することを通して自分を正しく表現し、相手も正しく認識するための方法です。2000年代初頭から行われている文化外交は、トルコの変革にも、世界のトルコに対する認識の変化にも影響しました。

冷戦期の文化外交は、衝突する陣営が相互に矛先を向けた武器となり、プロパガンダの目的で利用されました。恐怖のバランスの上に築かれた冷戦の時代に、核戦争のリスクは、イデオロギーとともに文化の面で戦線が生まれる原因となりました。東側陣営とソ連の崩壊においても、西側の効果的な文化外交の影響があったことが言えます。

外交の意味が広がる上で、冷戦の終了によりさらに加速し続けるグローバル化が影響を持つようになりました。今日、外交といえば、人々の心と考えを掴むための文化外交がよりよく想起されます。

中央アジア諸国の独立により、トルコの外交政策は新たな段階に入りました。トルコと共通の言語、歴史、文化的な繋がりがあるこの国々とトルコとの関係や協力活動は、多くの分野で共通の利益をもとに急速に発展しました。地域に向けたトルコの一般的な政策は、中央アジア諸国の独立、政治的・経済的安定を持つ、自らの分野と近隣諸国との協力の中で、国際社会と一体化した、民主的な価値感を受け入れた国家としての存続を支えるという形で要約することができます。トルコはこれらの政策により、地域諸国の重要な協力者となりました。チュルク系言語を話す諸国の間で協力活動を拡大する目的で、1992年以降、トルコの主導により続いている「チュルク系言語を話す諸国家大統領会議」の重要な結果の1つは、トルコ、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギスの参加により2009年に設立された「チュルク評議会」です。

地域に向けたトルコの外交活動は、文化、教育、メディア、開発支援をめぐって緊密化しています。この繋がりで踏まれた最初の一歩は、チュルク系文化、芸術、言語、歴史遺産の保護、これらの遺産の世界への紹介、若い世代への伝承という目的に従って。1993年に国際チュルク文化機構(チュルクソイ)が設立されたことでした。チュルク文化機構にはトルコ、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタンのほか、北キプロス・トルコ共和国、ロシアに属する6か国の自治共和国、モルドバに属するガガウス共和国もオブザーバーとして加盟しています。チュルク文化機構は、多面的な協力活動と相互の文化外交として模範的な機構です。

地域との関係における教育活動を特別視するトルコは、1992年に開始された「学生大プロジェクト」により、チュルク系諸国出身の何百人もの学生を受け入れてきました。今日「トルコ奨学金」のもとでさらにずっと幅広くなったこの奨学金制度は、海外のチュルク系の人々や親戚コミュニティ局によって運営されています。この制度の内容である「チュルク系言語を話す諸国の奨学金計画」の一環として、毎年何十人もの新たな留学生が、トルコの大学に受け入れられています。また、トルコ語の普及に向けた活動により、トルコの重要な文化外交の媒介となっているユヌス・エムレ・インスティトゥートの中央アジアにおける唯一の本部はカザフスタンのアスタナで活動しています。同インスティトゥートはトルコ国民教育省に所属し、キルギスとトルクメニスタンにそれぞれ4か所、カザフスタンとウズベキスタンにそれぞれ1か所の教育機関を開いています。

キルギス・トルコ・マナス大学は、1997-1998年の学年度以降、キルギスの首都ビシュケクで活動しています。チュルク系諸国の最初の共同国立大学であるアフメト・イェセヴィー大学は、カザフスタンにあるキャンパスで教育研究活動を行っています。同大学の教育言語はトルコ語とカザフ語です。この2つの言語のほか、英語とロシア語も使われています。880人の学術関係者がいる同大学には、経済学、歴史学、教育学、チュルク学、外国語言語学、法学、医学、理学、体育学、芸術学、情報学、工学の学部があります。

メディア分野で地域に向けた最も重要な活動の1つは、報道出版情報総局が事務を行う「チュルク系言語を話す諸国と社会メディアプラットフォーム」です。2009年3月21日から現在まで報道を続けており、チュルク系諸国の共通の声となることを目指すトルコ・ラジオ・テレビ協会(TRT)アヴァズは、地域に向けたトルコの投資の1つです。この放送局では、カザフ語、キルギス語、ウズベク語、トルクメン語のほか、アゼルバイジャン・トルコ語とボシュニャク語でも放送が行われています。アナドル通信のロシア語放送は、トルコの声を地域に届けるもう1つの放送です。

2005年に国連文明の同盟(UNAOC)の発足を主導し、その時から議長を務めているトルコは、国際的な文化外交の実行者です。一方で、トルコではトルコ国際協力調整庁(TİKA)、トルコ赤新月社、在外トルコ人および関連コミュニティ庁(YTB)などの国家機関のほか、ユヌス・エムレ・インスティトゥート、チュルク世界研究ワクフなどの市民団体も、文化外交機関となっています。自治体や大学は、コミュニティからコミュニティへの触れ合いや、人々の役に立つ活動により、外交政策に貢献しています。

2000年代初頭からトルコでは、上を下への社会変革が起こっています。教育レベルの向上、繁栄の高まり、外国との関係の緊密化などの要素が、この変革において影響力を持っています。昔と比べて、トルコのパスポートを所有しているということは、格式と誇りの源とみなされるようになっています。トルコの人々の自身と自身の国家に対する敬意、信用、信頼が高まっています。トルコが強くなるに従って、同じ割合で文化外交も強化されています。



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