「トルコ外交政策へのまなざし」 第24回

トルコによるS-400ミサイル防衛システムの選択

「トルコ外交政策へのまなざし」 第24回

アタテュルク大学国際関係学部ジェミル・ドアチ・イペク博士著

 

トルコ共和国が防空能力を開発する目的でロシア連邦からS-400システムを購入する決定を下したことで、内外の世論で議論が起こっています。私たちも今回、この議論に基づいてトルコの国防システム活動を分析します。

トルコ共和国は軍事・外交政策により、地域的な軍事的地位を強化し、長期的な世界勢力となる道を歩んでいます。この進歩を加速化し、防衛産業を強化し、それが国民の手に渡るよう、トルコは長年様々な活動を行ってきました。

シリアの騒乱や衝突が内戦に変貌し、イラクとシリアでDEASH(ISIL)やPKKなどのテロ組織が出現したことで、トルコはこの模索や活動を加速化することとなりました。近隣諸国に高いリスクがあることで、化学兵器に対し、ロケットシステムやミサイルシステムによりトルコも様々な措置を講じざるを得ません。トルコのイラク政策とシリア政策をまず明確にしているのはこの懸念です。シリア政策において一部の修正を行い、テロ組織PKKとYPGについてアメリカを説得し、ロシアと協力するようになったことの背後には、同様の懸念が横たわっています。

シリアについてオバマ政権は、トルコに対しテロ組織PKK、PYD、YPGを支援しました。トランプ政権もこの姿勢を維持しています。トルコがロシアとの経済・軍事協力を活発化させるようになった第一の理由は、アメリカのこの姿勢です。

北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるトルコはミサイルの脅威に晒されているのに、パトリオット防空システムがNATOからトルコに届けられたのはかなり遅くになってからでした。スペイン以外の国々も、砲台をすぐに持ち帰ってしまいました。今日テロ組織PKK、PYD、YPGは、NATO製造の重火器・軽火器を所有しています。NATOの在庫目録にある軍事爆発物は、テロリストによってイスタンブールの真ん中で使用されました。フェトフッラー派テロ組織による2016年7月15日の流血のクーデター企てに対し、欧米は無反応でした。これらすべての出来事のせいで、トルコは代わりの選択をせざるを得なくなったのです。

トルコの地域的レベルの防空は、長年リスクに晒されています。トルコの長距離防空システムは、2000年代初頭まで、ナイキ・ハーキュルーズ(Nike Hercules)でした。このシステムは、重々しいソビエト式爆撃機に対し効果的なシステムです。なので、今日ある脅威に対し脆弱です。この欠陥が理由で、第一・第二イラク作戦とシリア危機の際に、トルコはNATOから支援を要請することになりました。トルコにNATOからパトリオット砲台が届けられましたが、これは不十分で一時的な解決にしかなりませんでした。

トルコは問題を解決するために、長距離防空に向けたプロジェクトのために入札を行いました。入札にはアメリカ(Raytheon - Lockheed Martin)、ロシア(Rosoboroneksport)、中国(CPMIEC)、フランス・イタリアは共同で(EuroSAM)参加しました。トルコの基準を満たし、(適切な予算、共同生産、技術の共有、迅速な引渡し)入札で提示した価格でトップだったのは、中国でした(2位はイタリア・フランスのEuroSAM、3位はアメリカのRaytheon and Lockeed Martin)。トルコ企業と中国企業の間で会談が行われました。中国企業と合意する可能性について、中国がNATO加盟国ではなく、企業がアメリカの制裁リストに載っていたことから、アメリカとNATOから反発が上がりました。トルコと中国の間で行われた会談の結果、条件が満たされていないという理由でトルコは何らかの合意に至らず、入札を却下しました。

ロシアが提示価格を引き下げ、トルコ・ロシアの関係が改善しており、トルコが欧米の同盟国から重要な問題について支援を得られなかったなどの理由で、トルコはロシアのS-400システムを選びました。

トルコがS-400システムを選んだことで、一部のNATO加盟国が反発しました。この反発の結果、おそらくNATOは、S-400システムの自らのシステムへの統合を認めないでしょう。そうなると、トルコはこのシステムをNATOのシステムから独立して、自国のある地域のみを守る形で展開するでしょう。しかし、現在トルコの全防空システムと防衛構造は、NATOに統合されているために、最初の段階で一部の問題が起こる可能性があります。NATOとアメリカは、トルコがこのような代わりの模索を行うことを快く思わないのであれば、地域で認められ得るパワーバランスを築くために、トルコの懸念を理解し、トルコと共同で活動すべきです。

結果として、防空は何層にも重なって覆われた構造です。なので、どのシステムも、単独で解決にはならず、超えられない壁を築くことはできません。防空は、無人航空機、ヘリコプター、航空機、巡航ミサイル、弾道ミサイルに対し、ミサイルやそれを誘導する認識システムとともに全体を構成します。トルコが強力な国防システムを築けば、地域の安定や治安の観点からも、非常に重要な動きをすることになります。

 



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